2010年4月5日(月)
真吾オジサンの雑感
「松」について。
謡曲「高砂」から引用いたします。
問答・ワキ「なほなほ高砂の松のめでたき謂はれ委しく御物語り候へ」
クリ・地謡「それ草木心なしとは申せども花実の時を違へず、陽春の徳を具へて南枝花始めて開く」
サシ・シテ「然れどもこの松は、その気色とこしなへにして花葉時を分かず」
地謡「四つの時至りても、一千年の色雪の中に深く、または松花の色十廻りとも言へり」
シテ「かかるたよりを松が枝の」
地謡「言の葉草の露の玉、心を磨く種となりて」
シテ「生きとし生けるものごとに」
地謡「敷島のかげに寄るとかや」
クセ・地謡「然るに長能が詞にも、有情非情のその声、みな歌に洩るる事なし、
草土土砂、風声水音まで、万物の籠る心あり、
春の林の、東風に動き秋の虫の、北露に鳴くも、皆和歌の姿ならずや、
中にもこの松は、万木に勝れて、十八公のよそほひ、千秋の緑をなして、古今の色を見ず、
始皇の御爵に、預かる程の木なりとて、異国にも、本朝にも、万民これを賞玩す」
松は昔から神が宿る木なんだそうです。
松という漢字を分解すると、「十」・「八」・「公」になります。
松のことを「十八公」ともいうのはそのためです。