2010年7月16日(金)
真吾オジサンの雑感
「テトラクトュス」について。
皆さまは、この「テトラクトュス」というのを御存知ですか?
本気にする・しないは別にして、知っておきたいものです。
「京都大学学術出版会」が、「古代音楽論集」という本を、ご出版されておられます。
その本の中に挟まれていた「西洋古典叢書 月報72」から、引用させて頂きます。
(略)
まずその始祖として前六世紀のピュタゴラスを挙げねばなるまい。
非常に謎に包まれた人物であるが、ピュタゴラスとその教団が形成された時代の原初のピュタゴラス派の人々が、万物の根源として数を立てたということはあまりにも有名な話である。
そしてこの数とは単に計算に使う数ではなく、あらゆる事物に内奥に存在し、実在する個々のものを成り立たせている諸原理なのであり、
そのことからやがて彼らはこれを宇宙全体の構造原理にまで拡張していくわけである。
そのようにして存在論にまで高められた数のうちでは、とりわけテトラクトュス(tetraktys)が重要視され特別な権限を付与されていたことは特筆に値しよう。
原初のピュタゴラス教徒は最も完全な数であるこのテトラクトュスを前にして誓ったと言われ、同様にして祈祷が捧げられたのもテトラクトュスに向かってである。
ではそうしたテトラクトュスが具体的にどのようなものであるかと言うと、全部合わせて10を構成するもの即ち<1・2・3・4>の四つの数を指していたのは周知の通りである。
そしてさらに属性として、これら四つの数は数学的にはそれぞれ点・線・平面・立体に対応し、
音楽的には隣り合った二つの数がそれぞれオクターブ(2対1)、五度(3対2)、四度(4対3)の協和音を構成すると言うこともよく知られていた。
テトラクトュスとはまさに原初のピュタゴラス派の神秘主義を如実に示すものということができるわけである。
(略)
この「古代音楽論集」も、面白い本でした。
大きい本屋さんでないと置いていないかもしれませんが、一読の価値は十分にあるように思いました。
機会がございましたら、この本を、ぜひ、ご覧くださいね。