2010年8月11日(水)
真吾オジサンの雑感
「躁病」について。
皆さんは、この「躁病」の「躁病相」というのを御存知でしょうか?
以下には、「医学書院」の「精神医学 第2版」という医学書から、「躁病相(躁病エピソード)」を紹介・引用させて頂きます。
躁病の特徴は、高揚気分と発動性亢進(精神運動性興奮)および観念奔逸で示される。(略)
1、精神症状
a、 高揚気分 elevated mood
(略) 大部分の躁病者はふざけて、陽気で、機知のある状態である。
(略) その爽快さとか冗談は、脳器質性疾患にみられる上機嫌とは違って、活気があり、まわりの人たちにも共感させるところがある。
しかし多くの躁病者は、少なくとも刺激的で要求が多く、易怒的かつ攻撃的な面が表に立つ、感情の過剰が常にみられる。
b、 発動性亢進
発動性亢進は活動性の増加とか、行為心迫の増強(結果を考慮せずある活動に没頭)、疲れを知らぬ行動性といった形で現れる。
うつ病と逆で制止に欠ける。
この制止欠如は羞恥心を失わせ、ぶしつけな洒落、性的な図々しさ、求愛などとして現れ、別の患者では、悪意のないいたずら、小さな意地悪といった形をとる。
躁的興奮の度が重症になると、激昂といわれるほどになる。
c、 観念奔逸
観念奔逸は躁病者の典型的な思考障害である。
患者は多弁で、絶え間なくしゃべり続け、繰り返し新しい思いつき(それは前にいった話とはあまり関係のない言葉の内容による連想とか、音連合によって結びついた思いつき)
をしゃべり続けるようになる。
患者は身辺に起る出来事に見境なくとびつき、話題は転々と移り変わり、たいしたことでもないことに熱中し、しかも1つのテーマを長く考え続けることができない。
談話心迫とともに、メモを書きまくることもある。
(略)
観念奔逸の内容は、多忙へとかり立てられている思い、自己評価の過大評価、自尊心の肥大、優れた知能、楽観的傾向などと密接に関連しており、
したがって、当面する問題はすべて解決できると言い、改革的な新発見とか、革新的な世界観、政治観、あるいは企業の新企画、会社設立など広大な計画について語るようになる。
このような症状が主徴であれば、誇大型の躁病という。
d、 社会的行為の逸脱
躁病者は自己の状態について病識は原則としてもつことがないので、誇大妄想を実行に移す傾向がある。
例えばある躁病者は自分の経済力以上の自動車を買い、ある女性患者は高価な毛皮のコートを求め、あるいは莫大な注文を出し、借金をして会社を設立したりする。
病棟では、他の患者をとかく社員とか共同経営者などに指名しがちである。
(略)
e、 誇大妄想
(略)
しかし躁病患者がどれほど自己を誇張して示し、過大評価するにしても、彼らが常に誇大的であるわけではないし、
その時その時の思考内容を簡単に放棄して、急に別の考えに変るといったことが繰り返し起こる。
つまり、妄想形成を促進する要因としての、体験の持続に欠けている。
また躁病患者には超越的・形而上学的に高まっているといった感情をきたすことがない。
うつ病患者の罪責感、罪業感の対極は、恍惚体験と考えられるが、躁病患者に特徴的なのは、罪責とか罪業とかを体験できなくなっていること、つまり罪体験能力の喪失にある。
f、身体感情と身体症状
(略)
うつ病患者と同様に睡眠時間が短縮するが、彼らは短時間の睡眠で十分であると誇り、不眠を訴えることはない。
(略)
f、 病識
躁病では、うつ病よりも病識の現れにくい傾向がある。
(略)
多くは自我感情の高揚を喜び、常より体調がよいと思う。
彼らは健康に満ち、仕事の能率も上がっていると感じる。
ただ彼らは環境の制限と衝突して、易怒的になりやすい。
(略)
2、診断と鑑別診断
過剰な、分別のない、不釣り合いな行動があれば、躁病性ではないかと考えられやすい。
(略)
御参考になりましたでしょうか? ^^;
ついでに書いておきますと、「病識」というのは「南山堂」の「医学大辞典」に拠ると、「病者が自らの病気についてちゃんとわかっているか?という認識のこと。(略)」です。 ^^
多分、貴方の周りにも、このような輩がいることでしょう。
繰り返しマルチ商法に上せる輩などをイメージされると、実感できるかな?と思います。 ^^;
連中は、本当に「病気」なのかもしれませんよ。