2011年11月3日(木)
真吾オジサンの雑感
五大の相互連関について。
随分前の雑感のどこかで書いたように記憶するのですが、
「春秋社」さんが「空海 塔のコスモロジー」という本を発行されておられます。
ここに「五大の相互連関」というところがありました。
まあ、御存知の方も多いことでしょうが、そういう方は復習と思って御覧下さいね。
引用させて頂きます。
五大の相互連関
話をもどそう。
やがて前300年ころ、地−水−火−風−空の五大をベースとし、これに時間や方位などをくわえた自然哲学が興り、
五大説は精緻な思想的基盤を得るにいたった。(『ヴァイシェーシカ・スートラ』)
これによれば四大のそれぞれには原子が見いだされるが虚空に原子はない。
したがって、地・水・火・風のそれぞれは原子が複合されたものとしてさまざまな形態をとるが、
虚空は永遠であり、絶対的な存在である。
それは四大が存在するための場を提供するものとして位置づけられた。
以後、この派はバラモン教−ヒンドゥー教の思想の系譜において主流とはいえないまでも有力な一派を形成した。
こうした認識は仏教にも影響を及ぼした。
釈尊ブッダによる禁止にもかかわらず、インド的性向のゆえか、バラモン教の影響を受けつつ仏教においてもコスモロジーの探求はつづいていたのである。
五世紀に、部派仏教における過去七〜八百年にもおよぶ議論を集大成した『倶舎論(くしゃろん)』において四大の大とは、
大なる種、大種(だいしゅ)とされ、可能性を秘めた原質という意味になった。
当初の粗大な元素的四大観に飽き足らず、四大は基本的な性質やはたらきを含意すると定義される。
地界は堅性(けんしょう)なり、水界は濕性(しゅうしょう)なり、火界は煗性(なんしょう)なり、風界は動性(どうしょう)なり
四大のそれぞれに基本的な性格ないし作用を付与している。
噛み砕けば、地大は堅固で不動。
水大は物を湿らせ、溶かす。
火大は熱をもち、物を暖め、燃やす。
風大には燈火を吹き消すような、目には見えない動きや作用がある、というほどの意味である。
そして『倶舎論』は宇宙に明確な形をあたえた(要約)。
虚空の中に円筒形をなす風輪が浮かんでいる。
その上に、同じく円筒形の水輪がある。
その上に、これまた円筒形の金輪(=地輪)がある。
その中心に、正四角柱の須弥山(しゅみせん)が載る。
これが須弥山宇宙の生成過程は、虚空→風輪→水輪→金輪(=地輪)である。
ここに見る「輪」は、古代インドのことばであるマンダラを玄奘が漢訳したもの。
中国ではマンダラを「曼荼羅」と音訳するとともに、「輪円具足(りんえんぐそく)」と意訳した。
輪や円を理想とするイメージが根底にあることがうかがえる。
輪のイメージが導入され、五大は五輪ともいわれるようになる。
五世紀ころより徐々にかたちが整い出して今日にまで伝わるヒンドゥー教の聖典『プラーナ』でも、まずあらわれるのは空である。
空が活動をはじめると風が生じる。
風が活動をはじめると火が生じる。
火が活動をはじめると水が生じる。
水が活動をはじめると地が生じる。
つまり、相互の生成関係が語られはじめるようになった。
地−水−火−風−空は個別に存在するのではなく相互に作用し合う関係をもつようになった。
こうなんだそうです。 ^^
世間話の話ネタくらいには使えると思いますので、どうぞ、ご記憶のほど。 ^^