2011年7月11日(月)
真吾オジサンの雑感
「自暴自棄」について。
この「自暴自棄(じぼうじき)」は、「孟子」に出ている言葉です。
こうあります。
「孟子曰、自暴者、不可與有言也、自棄者、不可與有為也、言非禮義、謂之自暴也、吾身不能居仁由義、謂之自棄也、
仁人之安宅也、義人之正路也、曠安宅而弗居、舎正路而不由、哀哉、」
孟子曰く、
自ら暴(そこな)う者は、與(とも)に言うあるべからざるなり。
自ら棄(す)つる者は、與(とも)に爲(な)すあるべからざるなり。
言、礼義を非(そし)る、之(これ)を自ら暴(そこな)うと謂(い)い、
吾が身仁に居り義に由ること能わずとす、之を自ら棄つると謂う。
仁は人の安宅なり、義は人の正路なり。
安宅を曠(むな)しくして居らず、正路を舎(す)てて由(よ)らず。
哀しいかな。
孟子がいわれた。
「自分から自分を駄目にしてヤケクソになっている人間とは、いっしょに語りあうことはできないし、
自分から自分を諦めてステバチになっている人間とは、いっしょに仕事はできない。
口を開けば、礼義などはと非難するようなものを自暴(ヤケクソ)といい、
自分などにはとても仁義(道徳)を行なう資格はありませんよというようなものを、自棄(ステバチ)というのである。
そもそも仁は人の最も安心して住める家であり、義は人の通るべき正しい道である。
ところが彼ら自暴・自棄の人間はこの安全な家を空っぽにして住まず、
また、正しい道を捨てて通らねばとは、
さてさて情けないことではないか。」
と、岩波文庫の「孟子」には出ております。
ちなみに「広辞苑」には、
【自暴自棄】・・・「失望・放縦などのために自分の境遇・前途を破壊して顧みないこと。やけになること。」
と出ております。
平成濁世(※ ちなみに、濁世は佛教語ですが・・・ ^^;)ゆえ、この自暴自棄な気持ちになることは誰しもあることだとは思うのですが、
そういうときには、たまには孟子を紐解いて御覧になられるのもいいかもしれませんよ。
生きて行く上で指針となる言葉に、多く出会えるかもしれませんよ。
ご自身をスクラップ・アンド・ビルドしようという気持ちになられたときにでも、
この孟子には、その時に、役に立ちそうな言葉も多く書かれてあると思いますよ。