2011年7月13日(水)
真吾オジサンの雑感
「四股」について。
「茶の湯と陰陽五行」という本にこのように書かれてあります。
陽の天に勝ちがあり、陰の地に負があるとして、相撲では横綱の土俵入りで下方から上方へ身体を伸ばして、土俵の土を力強く踏み締める。
土俵入りの四股は、平安時代の陰陽師が反閇(へんばい)を踏んだ名残りと考えられる。
なのだそうです。
この「反閇」(へんばい)は「反閉」「返陪」とも書くようでして、広辞苑によりますと、
【反閇】
@ 貴人の出行などの時、陰陽師の行った呪法(じゅほう)で、特殊な足の踏み方。邪気を払い正気を迎え、幸福を開くためのものという。禹歩(うほ)。
A 神楽などの芸能に見られる呪術的な足づかい。
なのだそうです。
「学研」が発行所となっている「陰陽道の本」という本があるのですが、
ここにこの「反閇」のことが書かれてあります。
これまた、引用させて頂きましょうね。
反閇は、道教の歩行呪術に淵源を発している。
道教では「禹歩」という北斗七星の形や八卦の意味を込めた歩行呪術があり、
これによって、道中(どうちゅう)の安全や悪鬼、猛獣を避けることができるとされている。
これは、日本においては「反閇」と呼ばれ、歩行法も少々趣を異にする。
いわゆる継ぎ足とでもいう歩き方で、先に出た足に後の足を引き寄せて、左右に歩みを運ぶ。
いってみれば単純なものだが、これによって、悪星を踏み破って、吉意を呼び込むというもので、やはり陰陽師独特の星辰信仰の上に立脚した呪法といえる。
反閇は、後に陰陽道だけではなく、様々な民間儀礼にも入り込んでいった。
たとえば、相撲で踏まれる「四股」もその延長線上にある。
また、神道では、その儀礼において、歩み方を厳密に指定しているが、これなども一種の歩く呪術の思想によるものと考えてよい。
天台寺門宗の総本山・園城寺(おんじょうじ)の御修法(みしほ)として知られる「尊星五供(そんじょうごく)」は、
北極星の化身、妙見菩薩(尊星王)を全宇宙の象徴とみたて、
また同時に、天皇の本命星と考えて行われるきわめて陰陽道的な密教修法であるが、
この古い次第書には、やはりこの反閇がみられる。
つまり、衆僧(しゅそう)が修法檀を取り囲み、反閇でその周囲を歩くのである。
この作法によって、悪星の光をやわらげ、善星(北極星)は、ますます威光を増すというのである。
あれこれと不祥事もあった相撲の世界ですが、土俵入りのときには、今日の雑感に書いたことを思い出して下さいね。 ^^
勝った・負けたであれこれというのも楽しいものなのですが、
こういう点からもお相撲を御覧になられるとより興味が湧いてくると思いますよ。 ^^