2012年7月7日(土)

 

 

 

真吾オジサンの雑感

 

 

 

藝道について。

 

 

 

 

今回の雑感も「国体の本義」という本に出ていることを引用させて頂きましょう。

 

今回は「藝道」です。

 

 

 


 

 

藝道

 

 

 

我が国の道は、古来の諸藝にも顕著に現れてゐる。

 

詩歌・管弦・書画・聞香・茶の湯・生華・建築・彫刻・工藝・演劇等、

 

皆その究極に於いては道に入り、又道より出てゐる。

 

道の現れは、一面に於て伝統尊重の精神となり、他面に於て創造発展の行となる。

 

従って中世以来我が国の藝道は、先ず型に入って修練し、至って後に型を出るといふ修養方法を重んじた。

 

それは個人の恣意を排し、先ず伝統に生き型に従ふことによって、自ら道を得、

 

而して後これを個性に従って実現すべきことを教へたものである。

 

これ我が国藝道修業の特色である。

 

 

 

我が藝道に見出される一の根本的な特色は、没我帰一の精神に基づく様式を採ることであり、

 

更に深く自然と合致しようとする態度のあることである。

 

庭園の造り方を見ても、背景をなす自然との融合をはかり、布置配列せられた一木一石の上にも大自然を眺めようとし、

 

竹の簀の子に萱の屋根の亭を設けて自然の懐に没入しようとする。

 

即ち主観的計画に流れ人意を恣にするが如きものではない。

 

茶道に於て侘びを尊ぶのも、それを通じて我を忘れて道に合致しようとする要求に出づる。

 

狭い茶室に膝つき合せて一期一会を楽しみ、主客一味の喜びにひたり、

 

かくして上下の者が相寄って私なく差別なき和の境地に到るのである。

 

この心は、古来種々の階級や職業のものが差別の裡に平等の和を致し、大なる忘我奉公の精神を養って来たことによく相応する。

 

絵画に於ても、大和絵の如きは素直な心を以て人物・自然を写し、流麗にして趣致に富み、日本人の心を最もよく表現してゐる。

 

連歌・俳諧の如きは、本来一人の創作ではなく集団的な和の文学、協力の文学である。

 

又簡素清潔なる神社建築は、よく自然と調和して限りなく神々しいものとなってゐる。

 

寺院建築の如きも、よく山川草木の自然に融合して優美なる姿を示し、

 

鎧兜や衣服の模様に至るまで自然との合致が見られるといふが如く、広く美術工藝等にもよくこの特色が現れてゐる。

 

更に我が国藝術について注意すべきは、精神と現実との総合調和及び夫々の部門の藝術が互いに結びついてゐることである。

 

即ち世阿弥に「花」、芭蕉の「さび」、近松門左衛門の虚実論等に於ては、この心と物との深い一体の関係を捉へてゐる。

 

絵巻物に於ては、文学・絵画・工藝等の巧なる総合が見られ、

 

能楽に於ては、詞章・謡歌(謡・うたひ)、奏楽(囃・はやし)、舞踊・演伎(形・かた)、絵画、工藝等の力強い総合的実現がある。

 

歌舞伎に於ても音楽と舞踊と所作との融合にその特色が現れてをり、

 

又花道によって舞台と観衆との融合にまで進んでゐる。

 

 

 

 

これを要するに、我が国の文化は、その本質に於て肇国以来の大精神を具現せるものであって、

 

学問・教育・藝道等、すべてその基づくところを一にしてゐる。

 

将来の我が国文化も當にかかる道の上に立って益々創造せられるべきである。

 

 

 


 

 

 

こう書いてありました。

 

賛否はあることでしょうけれど、いいことを書いているようにも思いますね。

 

 

 

将棋愛好家の方の中には「閃け! 棋士に挑むコンピュータ」を御覧になられた方も多いことでしょう。

 

この本の中にこう書いてあるところがありましたよね。

 

 

 


 

 

清水市代は対局を、勝負であるとともに

 

「一緒に棋譜をつくりあげる共同作業」としてとらえている。

 

棋譜をつくるとき、相手がいるから思い通りには進まない。

 

そこに、苦しさと楽しさを感じている。

 

 

勝っても相手に誠意が感じられないとき、

 

棋譜を一緒につくってくれていないと感じるときは悲しく、不愉快に感じる。

 

 

負けても相手に真摯な姿勢、誠意が感じられ、

 

自分の上をいく良い手を指されると、充実感を覚える。

 

(略)

 

 


 

 

 

清水市代さんのこの論理、いわば「和の将棋」だと思うんですよ。

 

 

こうあるべきのようにも思いますね、本当はね。

 

 

 

 

 

 

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