2013年3月25日
真吾オジサンの雑感
たんぽぽや一天玉の如くなり 松本たかし
蒲公英 たんぽぽ 三春
【解説】
たんぽぽは最も代表的な春の野の花だが、これが不思議に万葉以下、古代、中世の短歌に詠まれていない。
近世も、主として天明以降に、俳諧に詠まれている。
『和名抄(わみょうしょう)』にフジナ、またタナとあるのがたんぽぽで、
その嫰葉(わかば)を食用に摘んだらしい。
春の野原に最も普通な雑草で、根元から幾重にも重なりあって出る葉は、
柔らかくうす緑で、鋸状に深く切れこみ、地面にはりついたように生える。
茎葉を折ると、白い乳がでる。
三、四月ごろ、その中心から10センチほどの花茎を出し、頂きに黄色い頭状花をつける。
春の太陽の輝きをさながら吸収して咲き出したといった趣の花である。
西日本には白、というよりクリーム色がかった花のが多い。
学者はとくに白花たんぽぽという。
花が終わって実になると白色の冠毛(かんもう)を生じて、
蒲公英の絮(わた)が風のない日も、どこまでも飛んでゆく。
鼓草ともいうのは、地上に生じた形が鼓面に似ているからで、その鼓の音を連想して、
子供がタンポポとかテテポポとか言い出したのだ。
そのウイットに富んだ命名が、今日通名となっているのも面白い。
近来、帰化植物の西洋たんぽぽが在来種を駆逐する勢いにある。
根や葉を食用にする食用たんぽぽもある。
[山本健吉]
たんぽぽや一天玉の如くなり 松本たかし
この句は割と有名な句であったと思います。