2013年3月29日
真吾オジサンの雑感
みちのくの淋代の浜和布寄す 山口青邨
今回も歳時記からの引用です。
和布 わかめ 三春
【解説】
「め」は食用になる海藻の総称で、とくに和布について言う。
「志賀(しか)の海人(あま)は軍(め)布刈り塩焼き暇(いとま)無(な)み髪梳(くしげ)の小櫛(おぐし)取りもみなくに」
石川少郎(『万葉集』、二七八)。
黄褐色の海藻で、ほとんど全国の近海に生じ、昆布に似て長さ60〜90センチ、
葉の中央に縦に走った一条の中肋(ちゅうろく・みちと言う)がある。
おもに竹の先に小さな鎌をつけた和布刈竿(めかりざお)で刈る。
和布刈鎌という。
干すと黒味を帯びる。
二、三月から四月にかけて和布刈(わかめがり)の時節である。
出雲では、幼いものを簀(す)の上にならべて干し、めのはと言い、焙って手で揉み、飯にかけて食べる。
茎の両側の肉が厚く粘質(ねんしつ)に富む部分を布株(めかぶ)と言い、
それを擂(す)ってとろろ汁のようにして食べるのをめかぶとろろと言う。
鳴門和布がもっとも有名で、三陸に産する長さ2メートル余に達するものは南部和布という。
[山本健吉]
みちのくの淋代の浜和布寄す 山口青邨
「淋代」は「さびしろ」と読みます。
青森県三沢市の海岸で、淋代の浜というところがあるのだそうです。
昭和12年の作で、山口青邨の代表句の一つです。