2013年4月1日
真吾オジサンの雑感
ぬかづけばわれも善女や仏生会 杉田久女
仏生会というのは、お釈迦様の誕生を祝して、お寺で行われます法会のことです。
今回も歳時記から引用させて頂きましょうね。
これは少々話が長いのですが、まあたまにはこういうのもご覧下さいね。 ^^
仏生会 ぶっしょうえ(ぶつしやうゑ) 晩春
【解説】
四月八日(地方によっては五月八日)には、釈迦の降誕を祝福して、全国の寺々では山内に花御堂を作り、
美しい花でその屋根を葺(ふ)き、浴仏盆のなかに誕生仏の像を安置して、参詣人に甘茶を竹の柄杓で灌(そそ)がせる。
産湯の意で、灌仏会(かんぶつえ)・降誕会・浴仏会・龍華会(りゅうげえ)などとも言い、
花御堂は摩耶夫人(まやぶにん)が夢憂樹(むうじゅ)の下で釈迦を産んだという伝説の藍毘尼林(らんびにりん)にかたどったもの。
所によっては、この日竿躑躅(さおつつじ)とか高花・天道花と言って、
竿の先に樒(しきみ)・躑躅・石楠(しゃくなげ)・空木(うつぎ)などの花を結んで花の塔を作り、
門口にたてて、釈尊に供するためと言っている。
だが、古くこの日は神の日で、田に入ることを忌み、地方によっては付近の高い山に登って神を拝み、
一日を楽しく遊び暮らしたり、山からとった花々をかざして帰り、家の庭先などに立てたりする風習が残っている。
それは稲作に深い関係をもち、神霊を山から田へ迎えるためと言い、農神の信仰につながっていて、仏生会とは無関係の行事が多い。
花折始めと言って、この日、墓参する地方もある。
都会では甘茶のかわりに五香水・五色水と言って、五色の水で灌仏することもあり、
大阪四天王寺・東京日比谷公園では、練稚児(ねりちご)の行列なども催され、
子供中心のにぎやかな春の花祭となった。
昔は陰暦で夏の季題であった。
近年花祭というのは、浄土宗で言い出し、子供中心の祭にふさわしいので一般に用いられるようになったもの。
花時の感じが強いが、花御堂の花は元来躑躅・卯の花などを用いたのである。
『毛吹草』『初学抄』『増山の井』以下の連俳書に、季題として掲げられている。
芭蕉以下、古句は夏の句として味うべきである。
[山本健吉]
ぬかづけばわれも善女や仏生会 杉田久女
善女は「ぜんにょ」と読みます。佛教語です。
佛教語大辞典には、善女人に同じと書かれてありますので、善女人を引用させて頂きますと、
【善女人】 ぜんにょにん
教養のある娘。立派な娘。元来は、良家の娘を意味したが、後には単に、尊敬すべき女性、立派な女性というほどの意となった。
こう書かれてあります。
広辞苑にも善女のことが出ております。こちらは、
【善女】 ぜんにょ
[仏]仏法に帰依した在俗の女子。「善男―」
こう書かれてあります。
久女のこの句の場合は、広辞苑の意味で受け取るほうが良さそうですよね。
久女が、とってひっつけたように善女になったわけですね。 ^^;
信心の不足気味の方は、まあこの久女の句のことを覚えておかれますといいかもしれませんね。 ^^