2013年4月25日
真吾オジサンの雑感
春更けて諸鳥啼くや雲の上 前田普羅
今回も歳時記から引用しましょうね。
春深し はるふかし 晩春
●春闌(はるたけなわ)・春闌(はるた)く・春更(はるふ)く・春深む
【解説】
花も散り過ぎて、春も最中すぎたころに言う。
「歓楽極まりて哀情多し」(漢武帝『秋風辞』)ともいうべき季節。
春たけなわの頂点が、以後の凋落を意識させ、
春愁・春怨・春恨などの主観的季語ともかかわってくる。
古歌にも、「春深くなりぬと思ふを桜花ちる木のもとはまだ雪ぞふる」紀貫之(『拾遺集』)、
「ちる花にせきとめらるる山川の深くも春のなりにけるかな」大中臣能宣(『詞花集』)、
「春深き野寺立ち籠むる夕霞つつみのこせる鐘の音かな」慈鎮(『風雅集』)など、
しばしば詠まれている。
「暮の春」「行く春」「春惜む」などの題と隣り合って、去り行く春の情趣の一環をなすが、
それらの題ほど春のおしつまった感じではなく、いくらか余裕を残している。
[山本健吉]
春更けて諸鳥啼くや雲の上 前田普羅
以前にも書きましたが、前田普羅の句は大きい景色の句にいいのが多いですね。